就任祝いの胡蝶蘭の贈り方

社長の就任祝いを贈るというのは、ミスの許されない重大なことです。もし初めてのことならば、いっそう緊張し、不安になることでしょう。
しかし、いつまでもためらって、贈るタイミングが遅くなってしまったら大変です。
次のような点に注意して、素早く行動に移りましょう。

まず最初に考えるのは、就任祝いとして何を贈るかということです。
高級な贈り物というと、上質なお酒や肉・魚といった食べ物や、ネクタイのような身につける物、そして見栄えの良い花などが思い浮かびます。
しかし、飲み物や食べ物は個人の好き嫌いがあるため、相手の好みを確実に把握していない場合にはかえって迷惑になる可能性があります。
また、身につける物に関しても、同じく好みの問題があります。相手の好みでない品を贈ってしまった場合、受け取った側に「それを身につけないと申し訳ない」というストレスを与えてしまうことを考えると、よほど相手のことを知っているのでない限り、おすすめできません。
そう考えると、花というのは失敗の少ない安全な贈り物と言えるでしょう。
もちろん、花の中にも独特の強い香りを持つ物や、祝い事にはあまり適さない物もありますから、花ならなんでも良いというわけではありません。
一般的に、こうした場合に多く用いられるのは胡蝶蘭です。

就任祝いや昇進祝いの相場は3万円から5万円と言われ、社長ということであれば基本的には5万、場合によっては10万程度まで考える必要があるとされています。
胡蝶蘭の場合、上等な物では3万円で3本立ち、5万円で5本立ちというのが相場ですから、基本的には5本立ち、相手によってはそれ以上を考える、という方針になるでしょう。
胡蝶蘭の色については、特に決まりや慣例はありません。
白い胡蝶蘭の花言葉は「清純」、ピンクの胡蝶蘭は「あなたを愛します」ですが、この場合はどちらも当てはまらないため、好みの色で大丈夫です。
白もピンクもそれぞれの良さがありますし、また極端な色では無いため、嫌われる可能性は非常に低いですから、より美しいと感じた方を選べば良いでしょう。
どうしても決めかねる場合には、何色でもない白というのが無難と言えますが、ここに関しては本当にあなたのセンス次第です。

最後に気をつけたいポイントは、花に添える札です。
一口に社長と言っても、実際の肩書きはさまざまです。
せっかく良い花を選んでも、ここで間違ってしまえば印象が悪くなりますから、くれぐれもミスの無いよう確認を繰り返し、正しい役職名を書くようにしてください。

胡蝶蘭の育て方

贈り物として胡蝶蘭をいただく機会は多いですが、花束ではなく鉢植えをいただいたなら、せっかくですから大切に育てたいものです。
たとえば胡蝶蘭をいただいた場合、どのように育てれば良いのでしょうか。

まず、いただいた時点でラッピングがされている場合は、なるべく早めに取り外してしまってください。
手間のかかったきれいなラッピングを取るのはもったいないと感じてしまいがちですが、ラッピングがあると鉢の中が蒸れてしまうため、花には良くないのです。
もしラッピングを取らずに水を遣ってしまえば、鉢の中はますます蒸し上がってしまい、カビが生えたり、根腐れを起こしたりすることもありますから、少なくとも水遣りを始める前には取っておく必要があります。

次に置き場所です。
花によって日光に弱かったり、風に弱かったりという特徴がありますが、これを機械的に覚えるよりも、「その花がもともと咲いていた地域の気候」をイメージして、それに近づけることを考えましょう。
胡蝶蘭は東南アジアの花で、熱帯雨林で育ちます。いわゆるジャングルですから、直射日光はあまり浴びることはありません。そして、花芽が出るのは涼しくなった時ですから、ある程度涼しくなることもある場所だとわかります。
そこで、まず温度に気をつけてください。一般の家庭で温室のように一定の温度を維持することは難しいですが、なるべく温度変化が少ない場所を選びましょう。特に冬場に冷えすぎると、すぐに枯れてしまいますから、少しでも暖かい部屋に移動するなどの配慮が必要です。
しかし、いくら暖かいからといって直射日光が当たる場所はいけません。葉焼けを避けるため、直射日光が当たらない場所を選ぶか、カーテンなどを通して光を弱める必要があります。また、密閉された部屋など、風通しの悪い場所も避けてください。

最適な置き場所が決まったら、あとは気をつけて水遣りを行いましょう。
毎日少しづつ水をあげて、ずっと土がしめっている状態を保つと、根腐れしてしまいます。
回数は控えめにして、ある程度土が乾いたらたっぷりとあげる、というのが基本です。
あまりにも土の乾燥しすぎるのも問題ですから、最適なタイミングで水をあげられるよう、鉢の状態には常に注意してください。

こうした点に気をつければ、胡蝶蘭の花を長く楽しめますが、やはりしおれてしまうのは避けられません。
その場合は、茎の根元から3節目辺りを切ってやると、そこから新しい花芽が出てきます。
もし株が弱っていて花芽が出てこないなら、根元の方で切って、また茎が伸びるのを待ってください。この場合、植え替えをすることによって、株がまた元気になることもあります。